クローズアップ現代「逆風のオバマ“変革”の行方」

・5日後にアメリカ中間選挙が迫っている。今回の選挙の特徴としては、白人保守層の間に「ティーパーティ」という市民運動を行うグループが現れ、多額の財政支出を行っている現政権に対して批判を強めていることがある。ティーパーティは、主に白人保守層の人々の共感を得ている。現政権のやり方を「社会主義的」であるとし、自由主義的なアメリカの本来の姿に回帰すべきであるとして政府を批判している。

・一方、2年前の大統領選挙でオバマを熱狂的に支持した若者層は選挙に対する関心を失っている。

・今回の中間選挙では、下院では民主党過半数を失い、上院では過半数は維持するものの厳しい状況になるだろうと予測されている。

・選挙の最大の争点は好転しない雇用の状況にある。とりわけ10代から20代の若年層の失業率は20%に達している。2年前のオバマ旋風に乗って当選し、オバマ大統領の政策を支持する「オバマ・チルドレン」は選挙で苦戦している。

ティーパーティは、政府の政策が貧困層への対策に重点がおかれ、これがひいては大きな財政支出につながっていることに不満を持っている。ティーパーティは上下両院で130人ほどを推薦している。

・「働かなくても失業保険をもらえばよいではないか」ということを口にする若者さえ現れている。こうしたことは自由主義アメリカの建国精神とは異なるものであるとティーパーティは考える。

・(ブルッキングス研究所上席研究員トーマス・マンオバマ大統領の就任以来、経済の状況は改善されておらず、一方で財政出動は大きくなる一方である。ティーパーティの支持者の多くは中間層である。彼らは仕事にはついているが経済的に厳しい状況にある。なぜ自分たちの納めた税が低所得者に移転されなければならないのか疑問に感じている。ここには人種問題も関係している。

・(トーマス・マン共和党は下院では過半数を握る可能性が高い。しかし、ティーパーティは、共和党より過激な自由主義思想をもっている。現在は共和党を支持しているが早晩両者は対立することになるだろう。オバマ大統領は、当面は共和党の主張に近い政策を重点的に実施するだろうが、それも行き詰まるだろう。

・(トーマス・マン)今起きている変化は、浮動層の動きである。これは大きな潮流にはなりえず、景気さえ向上すればまたオバマ支持に向かう可能性もある。