クローズアップ現代「狙われる認知症高齢者」

認知症高齢者が財産を奪われる被害が続出している。本人は被害届を出せないどころか被害を受けたことすらきちんと認識できていない場合もある。認知症高齢者5,200人を対象に調査したところ実に5人に1人が被害にあっていることがわかった。また、そのうち1,000万円以上の被害を受けた者は10%に達している。かつて振り込め詐欺にかかわっていたグループによる犯行が多い。被害をどう防ぐことができるのか考えたい。

・ 現在、認知症の高齢者は推計で200万人を超え、2025年には320万人に達しようとしている。

・ 1,300万円を持っていた高齢者が、半年後にはそのお金をほとんどすべて騙し取られたケースもあった。

・ 詐欺グループは、認知症高齢者の名簿を持っている。知人のふりをして電話をかけ、認知症と分かると株券など金融商品を購入させていた。罪悪感を感じることはない。

・ (弁護士 中山二基子)被害を突き止め、回復することは難しい。契約当時の判断能力を確認することも難しい。本人も被害を受けたという認識を持っていない場合もある。未然に防ぐことが必要である。

・ 被害を受けても、個人情報の関係で詐欺グループの持っていた名簿が警察の捜査にしか利用されていなかったということがあった。これを福祉の現場でも保有して被害を防ごうとする取り組みが行われようとしている。

・ 家政婦やタクシー運転手、高齢者を守るはずの近所の人が財産を横領していたケースもあった。

・ 地域の社会福祉協議会がヘルパーやケアマネージャからの聞き取りで被害の実態を把握し、介入することでその後の被害を防いだケースもあった。

・ (中山)日常生活に不安のある人は、社会福祉協議会と契約することでお金の引き出しなどの日常生活を支援してもらう日常生活自立支援事業を受けることができる。また認知症になった場合には成年後見制度を利用したい。これは究極の被害防止策である。現在そうでない状態であっても、認知症などになったことを想定して対応を考えておくべき。