西部邁ゼミナール「公需なければ日本国家の回復もなし」

・ 平成に入ってから22年間不景気であるといわれている。経済内政の問題について考える。

・ (脇雅史)「コンクリートから人へ」というスローガンで公共事業不要論がまかり通っている。しかし本来公共工事は地域をよくしようとする活動であるのではないか。私的な取り組みがすべてであり、もしそれがだめになったらセーフティネットで救うという図式だけなのはおかしいのではないか。

・ (西部)自由取引を成立・安定させるのは公共活動である。公共活動なしには経済は成立しない。

・ (脇)5年後10年後の地域のデザインを誰も描いていない。

・ (西部)地方分権というけれど、中央政府による方向付けは必要であり、それがないと国内の各所で同じ産物が生産され、不要なものがあふれてしまったりするかもしれない。中央と地方はセットでなければいけない。

・ (西部)なぜ日本は円高なのか。日本が強いからではない。

・ (脇)コンピュータで金を動かしている世の中である。こうした金の移動による金儲けだけを考えており事業を考えていない。これでは滅びてしまうだろう。

・ (西部)エマニュエル・トッドは、公需の重要性を訴え、自由取引だけのあり方に警鐘を鳴らしており、これが注目を集めている。また、オズワルト・シュペングラーは文明が進むと人間自身が形式化・数量化されてしまい、農業中心の世の中の人間とは質的に変化すると言っていた。

・ (西部)セーフティネットとは曲芸師が落ちたときの網である。セーフティネットを完備するということは、国民に曲芸をしろということではないか。