クローズアップ現代「電子書籍が“本”を変える」

・ アメリカでは三年前から電子書籍が登場し、急速に広まりつつある。また日本では今年は「電子書籍元年」として、これから年末にかけて電子書籍関係の製品が続々と販売されようとしている。

電子書籍は、端末さえ持っていればどこでも本を読むことができるという特長がある。アメリカではamazonkindleなどは紙の本の三分の一の価格で購入できる。また、一つの端末で数千冊もの書籍を管理することができる。

・ アップルのiPad電子書籍のみならずゲームなどもできる多機能端末である。ページをめくるように見ることができるという特性を持っている。

・ ネット検索大手のグーグルは、端末ではなく圧倒的な書籍の品揃えで売り込んでいる。

・ 日本では、NTTドコモと大日本印刷が手を組んでこの業界に参入しようとしている。大日本印刷にはこれまでの本の蓄積が、NTTドコモには通信のノウハウと携帯電話の顧客がある。

・ リアルな書店である紀伊国屋もこの業界に参入しようとしている。

東京五輪のころに出版されていた書籍はほぼ年間一万三千点、今は七万点となっている。しかし一つひとつの書籍は売れているわけではない。数をこなすことでなんとかしようとしている。

・ 日本は電子書籍の分野で出遅れているが、もともと日本は電子書籍を開発していたが、それは売れなかった。人々は紙の本に親しみを感じていた。電子書籍が成功するにはいくつかの超えるべきハードルがあった。

1.本の中身:新しい本も古い本も

2.流通:いつでも手に入れられる

3.端末:便利に使うことができる

この三つがアメリカではそろって電子書籍が急激に伸びた。

電子書籍は絶版となった書籍をよみがえらせることができる。また、電子書籍で埋もれていた才能が花開くこともある。アマゾンでは自分の著書を電子書店に載せることができる。この方法で書店に自著を持ち込んだが出版を拒否された人が、電子書籍という形で売れるようになったケースもあった。

・ ソーシャルリーディングという、電子書籍に読者の感想や意見を交わすことができる機能を設けようという試みもなされている。

・ 障害のある人たちは、読み上げや字の拡大などの機能を利用できる。

・ 一方で紙の本が持つ長所もある。紙の本が駆逐されることはないと考える。