クローズアップ現代「日本よ 大志を抱け~ノーベル賞・2人に聞く~」

・液晶を作るにはクロスカップリングの技術が欠かせない。クロスカップリングとは、結び付けるのが難しかった有機化合物同士を結び付ける、「魔法ののり」である。

たとえば従来の液晶に熱に強い化合物を結び付けることで、熱くなる車内にも耐えられるカーナビ用の液晶を作ったりできる。

・この技術は40年前に京都大学で生み出され、日本のお家芸といわれるようになった。当時の研究者はみな野心を持っていた。

・とくに今回の受賞者(鈴木章根岸英一)の研究は使い勝手がよく、素人でもできるような簡便なものであった。

・二人の恩師のブラウン博士も1979年にノーベル賞を受賞している。ブラウン博士は「大きな樫の木も小さなドングリから」「教科書になるような研究をしなさい」と何度も何度も言っていた。

・(根岸)研究を成し遂げるためには三つの要素がある。

1.新しい大陸を見つける

2.妥協のない論理で探求する

3.永遠の楽観主義

・(根岸)競争を通じて見極める、そして世界を舞台にとことん勝負することが大切。

・(鈴木)前へ進む原動力は、やはり興味とあきらめないという気持ちである。重箱の隅をつつくような仕事ではいけない。新しいものを作る喜びを感じてほしい。努力を踏まえセレンディピティ(思いがけず大きな発見をする力)に接すること。ギブアップしないこと。

・(根岸)確信を積み上げることの基礎は論理性、手堅い手法である。疑って疑って疑いきれないものが真理である。

・(鈴木)日本のような資源のない国では、我々人間が付加価値を高める取り組みを行うことが必要である。そしてそれは面白いのだ。

・(根岸)エネルギーが大きな問題であるが、地球温暖化をもたらしているとされる炭酸ガスこそ有機化合物の元であることを解明した人はノーベル賞をとれるのではないか。

■コメント

まさに言うとおりであって、志は高く、重箱の隅をつつくのでなく未知の分野を切り開いていく気概が必要だと思う。セレンディピティ、あっと驚くような発想、これは研究の世界のみならず日常の仕事でもある。そんなときは、意外なものどうしが頭の中で結びつき、「これはあれを利用すればうまくいくじゃないか」と感激する瞬間でもある。