西部邁ゼミナール(「友愛の海」が「紛争の海」になるとき)

尖閣諸島に関する民主党の対応は国民の反感を買った。田中角栄毛沢東周恩来との会談の中で、「尖閣の問題は孫の世代までに解決しましょう」といわれたが、そのときにきちんと尖閣は日本の領土であることを言っておけばこんなことにはならなかったのでは。

・ (脇/自民党)政府は地検の判断にこの問題を委ねてしまったが、外交に政治主導を発揮しなくてどこに発揮すればよいのか。これは政治放棄ではないか。

那覇地検の判断を了とするという仙谷官房長官という言葉、なぜここで了なのか。釈放はするが、尖閣は日本の領土であるということを宣言して了としなければいけなかったのではないか。

・ (脇)なぜ中国漁船と海上保安庁の巡視船との衝突を記録したビデオが出てこないのか。ビデオで事実を確認し、国会議員はこれに対し判断しなければならない。

・ 公開すると、たんなる漁船ではなく、漁船のふりをした武装船舶による準武力介入であることが分かってしまう。こうした案件は、日本国憲法第9条による自衛権を発動すべき案件であるが、日本は他国に対し反撃したくないのだろう。

・ (西田/自民党西郷隆盛は外交の基本姿勢として、自分の国を自分で守るということ、これができなければ国民の軽侮を受けることを唱えている。これが第二次世界大戦までは日本の考え方としてあった。しかし、戦後この考え方は失われてしまった。

・ 領土問題は法律でどうなるものではなく、武力に対しては武力で対抗するほかない。アメリカは尖閣問題は二国間の協議によるものとしており、アメリカは日中問題にはこれ以上責任を持たないという姿勢を示している。いわば高みの見物を決め込んでいる。

・ (脇)われわれは在日米軍をどうするかという問題、これを10年後どうするのか、という議論をずっと避けてきた。この議論をしないために在日米軍の状況も変わらない。

北方領土はロシアにとられ、沖縄はアメリカに貸与しているという状況がある。つまり、外国に自分の領土を侵されても特に何も言わずに続いてきているのが日本である。尖閣を中国にとられても何も言えるような態勢になっていない。

・ アメリカとソ連が冷戦で対峙していたときに、日本が東側にとられては困るため日米安保があった。今、冷戦が終了し、アメリカは中国と手を結ぼうとしている。日本は関心の外にある。

・ 自主防衛は必要であり、そのためには核武装が必要であると考える。

・ しかしながら、北方領土と沖縄をとられてあまり盛り上がらない世論が、なぜ尖閣のときだけ盛り上がったのかは不思議である。

・ (脇)自分の土地の境界線などには日本国民は敏感である。5センチでせめぎあったりしている。