都市と防災( 08)第1回「講義の概要紹介と我が国の都市防災」

都市と防災 (放送大学教材)

都市と防災 (放送大学教材)

・ 日本の建物は木造、紙による間仕切りで作られ、これは大火を招きやすい環境となった。これに対し、ヨーロッパは石造りが主となっている。現在でも日本では木造家屋が多い、木造密集市街地というものがある。

・ また、日本は人口密度が高く、世界で7位(341人/平方キロ)となっている。また東京では13,500人/平方キロであり、これも大災害につながりやすい。

・ 2006年に保険会社により世界の都市のリスクが公表されており、世界の中で、東京・横浜はもっともリスクが高い。サンフランシスコやロサンゼルスも高いが日本には及ばない。

・ この講義では、都市防災を学ぶ上での基礎(1~5回)、災害発生のメカニズムとその対策(6~10回)、災害管理の具体的な方法論(11~15回)を学ぶ。

・ 第二部では、気象災害、地震災害、火山災害、延焼災害を学ぶ。とりわけ地震災害は影響が極めて大きい。

・ 第三部では、被害抑止、事前準備、復旧・復興、情報・コミュニケーションを学ぶ。

・ 災害イマジネーション、災害が起きたときにどんなことが次々と起きていくのか、これがないと適切な判断・対応はできない。近未来を予測して受ける被害を最小化できる。しかし、こうしたこと、政治や行政、専門家、マスコミ、一般の人々のイマジネーションはきちんと高められず、思考が硬直化している。

・ 「目黒メソッド」というものがある。タイムテーブルで自分の行動パターンを書き表し、何かが起きたときに一分後、十分後、1日後、1週間後、・・・10年後にどうなるかを書くことである。天気が違ったらどうなるかなどを考えてみることも有効である。しかし、たぶん何も書けないのではないか。つまり災害イマジネーションは低いということである。

・ 考えることを習慣づければ書けるようになる。そうしたらみんなで言い合ってみよう。そして自分に期待されることは何なのかを考えて欲しい。

・ 防災対策が進まない最大の理由は何が起きるかわからないために対策が立てられないということである。家族が亡くなっただろうときに葬式のことを考えているだろうか。

地震の前の時間は余裕がある、地震のあとには余裕がない。緊急地震速報が出たときになにをするのか考えるべきである。

・ 「目黒メソッド」を簡略したものとして「目黒巻」がある。物語を作るのである。ここでは、徹底した当事者意識、健常者=潜在的災害弱者の認識、個人としての多面性の認識、自分の死後の物語を考える、ということが大切である。

・ 耐震補強前と耐震補強後でどうなるか、自分の部屋がどうなるかをシミュレーションする。また関東大震災のときに何が起きたのか、これも大切なことである。帝都復興計画も災害イマジネーションの参考になる。

・ わが国は災害のデパートといわれる。しかし、一方でそこからいろんなことを学んできた。これを共有化していきたい。

評価:★★