一週間de資本論 <全4回> 第2回「労働力という商品」

一週間 de 資本論

一週間 de 資本論

・ 現代の日本では派遣切りやリストラで職を失う人が多く現れているが、これはむき出しの資本主義である。

マルクスは第八章「労働力」から見て欲しいと考えていた。労働者に対するメッセージである。

・ 工場では繁忙期には6時から深夜まで働かされていた。働きながら眠ってしまう子もいた。また、鉄道で大事故を起こした職員は、1日15時間労働、またぶっ続けの40~50時間労働をしていた、というようなケースもあったという。

・ 商品には、「使って役に立つ」という使用価値と「他の商品と交換する」である交換価値がある。労働者が労働力を売って手に入れる賃金は交換価値である。

・ 必要労働時間は労働者の賃金であり、剰余労働時間は資本家の利潤=搾取である。労働力と賃金の等価交換ではないのか?しかし、労働力は資本家が利用することにより剰余価値を生み出す特殊な商品であり、労働強化を通じて資本家に利益を生んだ。

・ ヨーロッパではこうした状況を改善するため、労働法により一日の労働時間を規制した。ところが、これを受けて資本家は機械を導入して生産し、一方、機械に換えられた労働力はリストラ・賃下げされることになった。これは今の日本を象徴している。

・ (湯浅誠)政治はこうした状況を「再分配」で切り抜けようとするが、生活の手触りを忘れてしまったのではないか。

・ (湯浅)雇用保険というセーフティネットで次の仕事までつなげられる人もいるしそうでない人もいる。これまで、いわゆる「日本型雇用システム」はよく回っていたと思う。労働者は、自分達で仕事を改善・効率化し相対的剰余価値を生んでいた。しかし、今では正規社員ですら生き残れなくなってきている。賃金が下がっても生き残れる仕組みがない。

・ (湯浅)市場原理だけだとうまくいかない。弱肉強食になってしまう。こうした状況に対して市民としてどう考えていくかが重要ではないか。