一週間de資本論 <全4回> 第1回「資本の誕生」

一週間 de 資本論

一週間 de 資本論

カール・マルクス資本論』、最近では代表的な知識人達が再評価している。日本でも新しい翻訳や入門書が現れてきている。

・ かつては社会主義の骨組みとなる書であったが、冷遇された時代を経て、2009年の金融危機以降、多くの労働者が貧困に追いやられ、資本論の描いたむきだしの資本主義に襲われている。

・ (的場昭弘神奈川大学教授)マルクスは1818年フランスとドイツの国境の町トリーアの裕福な家庭に生まれた。新聞記者として痛烈な批判記事を書き続けた。フランスからイギリスへ移り(妻と三人の子供)、大英図書館で経済学の研究に打ち込んだ。貧困で次々と子供を亡くした。『資本論』は49歳(1867年)であらわした。2500ページ、エンゲルスがまとめた。

・ 世界は商品でできている。資本主義はすべてのものが商品として表れる。商品はわれわれの社会を形作る細胞である。

・ 商品には使用価値(有用性、人間の欲望の充足)と交換価値(何とどのくらい交換できるか、お互いの欲望ではなく量)がある。何らかの共通項があるから交換できる。

・ それは何か、「労働」である。(労働価値説)そして交換の媒体として貨幣が生まれ、その素材として金が選ばれた。

・ W(Ware)-G(Geld)-W(Ware)これを繰り返すうちに、G-W-G‘を考える、すなわちお金を手に入れたいと考える人が現れるとマルクスは考えた。これは流通手段としてではなく、資本としての貨幣(価値の増殖)である。

・ 資本の目的は利益を絶え間なく得るということだけである。

・ (森永卓郎資本論を大学三年で読んだがちんぷんかんぷんだった。当時の時代背景を良く知らなかったせいだと思う。今になって分かるようになってきた。ミニカーなどを集めているオタクである。これは資本論ではとらえられないことがある。オタクは生産者と消費者が一体である。フィギュアを売ってコスプレを買って、利益はまったく得ていない。しかし、オタクの世界では、近代経済学の効用価値のある商品もある。マーケットで数億円で売れるフィギュアもある。

・ (森永)マルクスは拳銃、馬術、ワイン(シャトー・マルゴー)が好きだった。

・ (森永)IT長者は何十億円も稼いだりしている。しかし、これをちょっとでも増やそうとしたり、減るのがいやだという形である。お金を持っているのに幸せそうではない。

・ (森永)何もせず寝っころがって稼いでいる人が資本家である。