労働経済( 08)第8回「若者と労働」◇大阪大学大学院教授・松繁 寿和

労働経済 (放送大学教材)

労働経済 (放送大学教材)

1. 教育訓練

-教育訓練のとらえ方

・ オンザジョブトレーニングとオフザジョブトレーニング

・ 一般的技能と企業特殊技能

2. 若者の働き方

・ 若年層の完全失業率は、全体の失業率の倍程度高く、もっとも悪いときで10%程度の失業率を記録している。

ニートやフリーターを生み出している背景について考えていく。

・ 若者の労働環境に関する特徴は賃金が低いこと、雇用が不安定であることである。

・ OJT(仕事に就きながらの訓練)、Off-JT(仕事から離れて行われる訓練)がある。キャリア形成において重要なのはOJTである。

・ 新人の技能向上は、

1. 初任研修(会社の規則、諸手続きなどの説明。Off-JT)

2. 先輩との共同遂行(1簡単な作業から徐々に難しい作業へ、2作業範囲の拡大、3主従の交代、4立ち会われての試験的独り立ち、5時々の応援)

3. 一人だけでの遂行(1遂行時間の短縮、2トラブル時の応援、3業務の改善)

4. 他の仕事の経験(1遂行可能な仕事の増加、2生産工程にかかわるようなトラブルの解決、3他の職場と連携したトラブル解決や改善)

・ 管理職の仕事

1. 管理業務

2. 予期せぬ事態の対処(これには下位の仕事の経験が必要)

・ 企業にとって有用な人材となるには一般的技能のみならず企業特殊技能を身につけることが必要であり、これがなければ昇進はない

・ 企業特殊技能はOJTによって身に付く。初期の段階でのキャリアのつまづきはその後のキャリア形成に大きく影響を与える。若者で失業している人は教育訓練の期間を失っているということになる。

・ 教育訓練の期間は賃金は低く抑えられる。また教える先輩の方も、教育に振り向ける時間を実務に振り向けられない分コストとなる。

ニート、フリーターの増加に見られる若者の仕事意識の変化はあるのか。最近は若者(15~24歳)の非正規率は高く約50%に達するようになってきている(フリーター)。また、非労働力化も高く30%に達している(ニート)。

・ 彼らは進んで非正規になったのか、それとも仕方なく非正規になったのか。

・ フリーターは、学生・主婦を除く15~34歳のうちパート・アルバイトまたは無業で仕事を希望する者である。ニートは15~34歳のうち家事も通学もしない無業者である。

・ 若者の意識は、豊かな生活をしようというよりも楽な生活にシフトしている。その一方で、今の会社に一生勤めたいと思う人は増加している。