労働経済( 08)第9回「女性と労働(Ⅰ)~男女間格差~」◇松繁 寿和

労働経済 (放送大学教材)

労働経済 (放送大学教材)

・ 男女間格差に焦点をあてる

・ 労働力が不足していると言うことは、労働力としての女性に着目されるということになる

少子化、女性が社会に進出すると言うことは家庭の労働を誰が担うかということになる

1. 格差の実態

-就労に関する差

-処遇に関する差

2. 格差の理論

-統計的差別の理論

-家庭内分業

3. 非正規化

・ 就労に関する差、男性の労働力率は下がってきている(73.2%)が女性は横ばいである(48.5%)。

・ 一般労働に関しては女性の離職率は高い(安定的な仕事に長くとどまらない)、一方でパートでは男性の離職率が高い

・ 30歳を過ぎると女性の平均勤続年数は男性より少なくなってくる。(約6割)これは結婚及び出産により就業の形を変えているということになる。

・ 処遇にかかる男女間の格差については、1970年代後半は給与格差は約60%であったが、徐々に女性の給与が上がり、現在65%程度である。

・ 全体的に年齢の上昇とともに女性の相対的な給与は下がっていく。しかし、大卒の場合はもっとも差が付かない。

・ 男女別の管理職比率(部長、課長、係長)を見ると、男性24%、女性5%である。これはより上位の管理職について格差の傾向が大きい。

・ 統計的差別の理論により、女性にはあまり教育研修をしない、結果として昇進も低く、本人もキャリアの将来性がないことから離職すると言うことにつながる。これが社会に定着するとなかなか変えられない。

・ 家庭内分業により、一方は仕事に専念し、他方は家事・育児に専念するが、労働市場で男性は高賃金のため仕事に専念し、女性は低賃金のため家事・育児に専念するようになっている。

非正規雇用、同一労働であれば同一賃金とすべきであると言う議論が大きくなってきている。