ホーチミン

■行程の概要

終日 ホーチミン市

■日記

7月12日(月)

いつものことながらホテルでは寝付きが悪い。横になったまま朝を迎え、9時近くになって宿泊先であるこのサイゴン・ホテル9階の朝食会場のレストランへ行く。このレストランからは、初めて街の姿を一望に見渡すことができた。手前に建設現場と公園、その向こうに泥に濁ったサイゴン川と森に囲まれた街がつながっている。また、ビルの谷間には薄汚れた建物が密集しており、そうした猥雑さも東南アジアらしい。

街を歩き出すとすぐにバイクタクシーの運転手が寄ってくる。こちらがすぐに日本人とわかるようで片言の日本語で「乗らないか」と声を掛けてくる。かなりしつこい運転手もいて、ずっとバイクに乗ったまま追っかけてくる。それは歩道の上だろうがお構いなしでバイクを乗り上げて追っかけてくる。そんな形で付きまとわれるのはほぼ予想していたことなので、適当にあしらっておく。大体日本人は強硬に薦められると逆に警戒する、というのを分かっていないようだ。これは、みやげ物屋の売り子にしても同じで、ともかくしつこく食い下がることが特徴だ。ただ、旅の後半になると分かってくるが、どちらかというと、大多数のベトナム国民は外国人に対してはずっと控えめである。

午後には、日本円5,000円をベトナムドンに両替し、これを利用して街の姿を知るために路線バスを利用して、ガイドブック等も参考にしながら「ともかく動き回る」。路線バスは、1回3,000VND(=約15円)と格安(物価相応?)であるが、まず停留所と路線がほぼ分からない。後にベンタイン市場前にあるターミナルで路線図をもらい路線はほぼ分かったが、停留所がどこにあるか、これはともかく路線上を歩き回らないと分からないのだった。

街の西部にある中華街(チョロン)へ行ってみる。ビンタイという名の市場をはじめ雑多な商店からなる地区である。路上狭しと野菜売りの女性が商売している。市場内は大きな屋根に覆われた密集した空間で、どこも積み上げられた衣類、雑貨類であふれかえっている。通るのもやっとという細い通路をたどっていかなければならない。中庭には小さな池があり、日本では見ることのない熱帯風の姿で肌色の魚が泳いでいた。この地区には小さいながら教会もあり、尖塔が低い建物の向こうに眺められる。行ってみようかとも思ったが、近い距離であっても車道を渡るのが大変で行けなかった。

この街の車道を渡るのは、それは大変なことだ。街の中心を除いてはほぼ横断歩道や信号というものがない。向こうに行きたい場合はどうするか、道路を車やバス、バイクや自転車の間を縫って渡っていくのだ。もちろんそのまま歩いていったのでは轢かれてしまう。左側の車線、右側の車線でそれぞれ向かってくる車やバイクを目で牽制しながらそろりそろりとくぐり抜ける、といった形である。ぶつからないかと急ぎすぎたりこちらの動きが不規則になるのは却って事故を招くとのことである。滞在してしばらくするとこのスタイルは日本人のわれわれであっても身に付けることはできる。しかし、道を渡るのはある意味では毎回の命を賭けた勝負で、そのたびに独特の緊張を味わうこととなる。

さすがに夕方になると昼間の暑熱は影をひそめ、これも東南アジア独特の涼しい風が吹き始める。夜は食事に出かけたが、そこかしこの路上やテラスにそんな涼しい風を浴びながらゆったりと食事をする人々が見られた。

【#05 ホテルの9階から見るサイゴン川】

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【#06 人民委員会】

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【#07 サイゴン・ホテル】

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【#08 チョロン地区にあるビンタイ市場】

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【#09 道を埋め尽くすバイク】

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