バレエ『シンデレラ』新国立劇場

今日は、職場の同僚やご家族合わせて7名で新国立劇場を訪れた。演目は『シンデレラ』、『くるみ割り人形』とともにクリスマスの時期の定番である。ロビーやホワイエには、この時期らしくクリスマスツリーが飾られていた。三階にあるレストラン『マエストロ』で昼食をとり、劇場内を一通り案内してオペラパレスに入った。

ホワイエでは、演目に因んで、小姓に扮した女性がガラスの靴を抱え、「靴の持ち主の方はいらっしゃいませんか」と、開幕前の気分を高めるような演出がされていた。

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昨日(ソワレ)が初日で、今日(マチネ)は二日目だったわけだが、昨日は第二幕の途中で主役(ラリーサ・レジニナ、オランダ国立バレエ・プリンシパル)が怪我で降板するというアクシデントがあったようだ。初日というと公演の中でも特別な位置づけでもあることだし、あと二日踊ることが予定されていたいわば公演の顔となるゲストダンサーであることから、劇場側でも対応に慌てたことと思う。

(もともと、レジニナも最初登板が予定されていたアリーナ・コジョカル(英国ロイヤルバレエ・プリンシパル)の代役である)

さて、この二日目の公演であるが、シンデレラは酒井はな、王子は山本隆之、草創期から新国立劇場を引っ張ってきた二人である。この演目も何度も演じており、同僚いわく「安心してみることのできる」ペアである。

第一幕は最初は演劇風、家の中での義理の姉どうしのやり取り(義理の姉は男性ダンサー)がコミカルで子どもも楽しめる内容である。最初は物乞いとして現れる仙女(川村真樹)が四季の精(丸尾孝子、湯川麻美子、高橋有里、厚木三杏)を従えて展開する踊りあたりからバレエらしくなる。今回は前から13列目の座席だったが、これだけ近いと随分細かいところまで鑑賞できるものだと思われた。最後に仙女がカボチャを上手奥に投げ込んで銀の馬車に乗ったシンデレラが登場となるが、あっという間に舞台を一周して下手に消え去っていく。ここは演出面での全体のきめどころでもあり、もう少したっぷりと見せてもいいような気もする。(最終日には、スピードの出過ぎ?馬車が転倒してしまったようだ)

第二幕は、宮中でのダンスパーティで、やはり義理の姉たちとナポレオン、ウェリントンとの滑稽なやり取りがあったあと、シンデレラが到着して王子とのパ・ド・ドゥが展開される。

第三幕は、靴合わせがあり、王子がシンデレラを見つけたあと、舞台が暗転し、星の精に導かれてシンデレラと王子が星空に溶け込んでいくように幕となる。

この演出は、アシュトン版(1948年)でシンデレラの演出としてはもっとも正統派に属するものであるが、全体としては、コミカルな部分が大きく、他のグランド・バレエより初心者でも楽しめる内容となっている。ただ、ある意味「おとぎ話」でもあることから、バレエという情感豊かな表現形式にとっては少し物足りない素材なのかも知れないと思われた。

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