歌舞伎『盟(かみかけて)三五大切』歌舞伎座

鶴屋南北の作品で、赤穂浪士の吉良討ち入りを伏線として展開する狂言。浪人の薩摩源五兵衛(仁左衛門)は、芸者の小万(時蔵)に入れ込んでいるが、小万には笹野屋三五郎(菊五郎)という夫がいる。源五兵衛の用立ててもらった百両をこの三五郎が、ごろつきたちと共謀して取り上げてしまう。この恨みを晴らすため、源五兵衛は三五郎のもとへ向かい殺害しようとするが、二人はその難を逃れ、四谷鬼横町の長屋へ落ちのびる。しかし、そのもとへも源五兵衛が現れ、取り手があらわれたため一度は引き下がったものの、また引き返し小万と子を殺害する。そして三五郎が潜む愛染院に現れ、これまでのいきさつの真相を知り、三五郎は自害するとともに源五兵衛は雪の降る中、高師直吉良上野介)のもとへ同士とともに討ち入りへと出ていく。

いろいろと展開される人間関係が、じつはつながりのあるもの同士だったという歌舞伎特有の筋書きである。伏線に四谷怪談や忠臣蔵があり、また幕末らしい世情の不安定さもかいま見える作品。刃傷の場面も多く、血なまぐさい作品でもある。

どうもここまでくると「型」自体が少し退屈である一方で、刃傷場面がリアル過ぎてあまり好きになれなかった。ずいぶん冷え込んだ一日だった。

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