音楽CD:アンドレ・プレヴィン、ロンドン交響楽団『白鳥の湖』1976年

白鳥の湖は先々週から2回舞台を見て大いに感動したところだったので、改めて音楽として聴いてみたいと思い、定評のあるプレヴィン版を手にいれた。

たぶん以前(中高生のころ)はLPのロジェストヴェンスキー版をのめり込むように長く聞いていたと思う。

聞いてみての率直な印象としては、「典雅さ」が伝わる演奏だった。管のややレッジェーロ気味の音からそう感じたのかもしれない。スケールの大きさは十分に伝わってくるものだった。一方ではチャイコフスキーらしい「しつこさ」みたいなものが薄められてしまったかなという気もした。(おそらく管が本来はこの作品の「しつこさ」を生んでいるように思われる)

チャイコフスキーのこの作品は、非常に音楽も美しいが、ショパンが青年らしい純粋さを完成された音楽で表現したのとは別の形で、聴いている者としてはちょっと派手にまとめすぎてはいませんか、と恥じ入りたくなる場面もあるのだが、プレヴィンのこの演奏では恥じ入りたくなる場面がなかった。音楽として純粋に高度の批評に堪える形に昇華しているといえるのではないか。また、三幕のファンファーレを聴くと、ロジェストヴェンスキー盤では音楽の波に任せていた印象があったが、プレヴィン盤ではあくまでもファンファーレはファンファーレという控えめな位置づけだったのが印象に残った。

自宅の音響機器がきわめて貧弱な環境なので正確な評価はできないが、先日の東フィルの演奏はやはりよかった(とくに弦)。逆に言うと、舞台では恥じ入りたくなる場面があり、それも自分にとっては好きなようなのだ。

それから、やはりチャイコフスキーは何かオリエンタルなものを持っていると思う。旋律の端々に日本的なものが感じられるのである。