富について

富とはなにか、をよく考えるようになった。

富は、それが貨幣から資本へと転化することにより、人間が「仕事」として行ったきた領域をカバーすることが可能である。

したがって、富を蓄積することは、そのまま人間としての行動領域を退化させ、いわゆる「脳化」へのシフトを加速化させることにもつながる。

むかしの富はまだ可愛いものだった、家を建てる、贅をこらした調度をあつらえる、美味しいものを食べるなど、まだ日々の暮らしと結びつきがあった。

しかし、こうした領域を超えた可能性まで考えなければならなくなっている。

富については、行為の連鎖系、モノの連鎖系、貨幣の連鎖系の3つの系が好循環をしてはじめてその拠ってたつところがしっかりする。

微妙なバランスの上に立っているわけだが、ただし脆弱というわけでもない。

人の生きる世代とは何か。前の時代に生まれたものは後の時代に生まれたものよりも生活のクオリティが低いといえるのか。

まずもって言えるのは、人生はこれまでの歴史に較べきわめて短いということ。これまでの歴史を振り返ることがその人の人生を、後世に生まれるよりもはるかに豊かにするのではないかということである。