バンコク→バタワース

■日程

14:45 バンコクホアランポーン駅発

翌日 バタワース

■日記

11:55ホテル着、チェックアウトを済ませる。(1700B)

これから駅へ行き、14:45の列車に乗車の予定。

ともかく暑い。荷物の整理をしていたところ、アイマスクと耳栓が見つかった。

なくなったと思っていたが、こんなものでも出てくるとありがたい。creditcardも出てきた。

今バタワースへ向かう列車の中にいる。発車は定刻どおりだった。

バンコクのスラム街を時速10km程度で走っていたが、一時間ほどを過ぎてようやくExpressらしいスピードになってきたようだ。暑かった車内もそれなりに涼しくなってきた。

本当は一等寝台を取りたかったが、前日の予約ではなぜか残席は五席しかなく、やむなくこの座席となった。(二等寝台上段)

さて、バンコクだが、ともかくすごいところだった。

あれほどの酷暑と多湿、不潔さ、極彩色、いい加減さと人の好さ、民族のるつぼ、金持ちと貧乏人、こういったものが相まってバンコクの都市文化を形成している。

暑く、全てが淀んでいるところでは、細やかさとか深く考えるという行為は出てこないのではないか。逆に日本のお家芸である細やかさは、夏以外の季節を持っているからこそできることではないか。思索に結びつく古びというものへの畏敬はないのではないか。直接感覚に伝わってくる「金色」「黄色」(国のシンボルカラーか?)が好まれる。

食べているものも違う。中国と同じように、香菜をよく使って作っているようだが、味が濃く、えぐい。とても日本人の口に合う代物ではない。匂いからして独特のものだ。その匂いが街中に濃く薄く立ち込めている。熱帯にあるため天然の食物資源には恵まれているのであろう。いろいろな生き物がうようよしている。不潔さはさておき、何でも食べてしまう人たちだ。

また人々も、中国人、タイ人、フィリピン人、マレー人、シンガポール人、イスラム系などさまざまだが、特に中国系はそれなりに独特の文化を持っているようだ。中国人を含め、バンコク風としか言いようのない思考様式があるように思える。

スラムの人々にせよ、一般の人々にせよ、淀みの中に存在している。下水の中で何かを漁る人がいる。

経済とは、この街の商店だ。商店が多くあり、路上での物売りなど、またタクシー、TukTukのドライバー達、決して価値判断はできないが、あらゆる人が日々の暮らしを持っている。しかもバイタリティがある。

この都市の行政官として何かできることはあるだろうか。それは微々たるものだろう。熱帯近代都市、手の付けられない自動連鎖の巨大な生き物、淀み、深み、不潔、格差の詰め込まれたモノ。決まりごとは「法」ではなく、くらし=経済のルールが優位である。中国人、華僑、どの国にも存在し、チャイナタウンを構成するコスモポリタン、よろい戸の奥で光る目。

ある国の最下層が別の国の最上層であるということ。国=文化である。

テレビでは絶対に伝わらない匂い、味、蠢く小さな虫。暑さと湿度。

17時にとある駅へ到着した。売り子がスチロールの弁当箱に入った弁当をもってこの「国際列車」に乗り込んでくる。弁当一つ10Bと書いてある、30円だ。いや、この弁当と称するものの発する匂いがすごい。いや、まだ穏やかな方なのかもしれない。

タイ人はよく食べる。自分の前に坐っているおばさん、この人は以前の職場のアルバイトにそっくりなのだが、二つも弁当を買い、目の前でむしゃむしゃと食べている。もう、一つを食べ終わりそうだ。なんともムスッとした愛想のないオバサンなのだが、足の親指がストッキングを突き破って顔を出しているところが唯一のご愛敬か。

さて、事前の情報では、大雨で橋が危ないとのことだったが、ずっと晴天が続いている。マレー半島を列車はゆっくりと南下している。地図上では南シナ海の近傍を走っているはずだが、海はまだ見えてこない。

見たこともないような雲の形である。雲の端々が触手を伸ばしたような形となっている。何か邪悪なパワーを秘めた雲である。一方半島の稜線となる山並みはと見ると、これも熱帯風の変てこりんな形をしている。ピラミッド型ではなくて、一部分だけぽっこりと丸みを帯びて突き出している。

さて、列車の設備であるが、国際列車とはいえ、同じ線区を走る豪華列車「イースタン&オリエンタルエクスプレス」とは比べものにならないものだ。どことなく薄汚れており、窓も濁っており景色がクリアに見えない。

ただ、せめて下段を確保したかった。上段(upper berth)だとまったく外が見えず、本を読むしかなさそうだ。向うの上段に入ったトルコ系の男も大きな身体を折り曲げるようにしている。

そういえば、バンコクで宿泊したホテルでは日本人は多かったが、列車の中では見えないようだ。

雲が遠くに見えてきた。スコールの影も見える。18時ころになって天気雨が降ってきた。土はまっ茶色、赤いラテライトである。18:40HuaHin着5分停車する。

【#08 路線バスでワット・ポーへ向かう(大渋滞)】

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【#09 ワット・ポーの寝釈迦】

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【#10 高架下ではセパ・タクローをやっていた】

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【#11 食堂車で夕食】

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【#12 寝台車にて】

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