ボストン→ニューヨーク

■日程

8:40 ボストン・サウス駅発(Regional)

12:50 ニューヨーク・ペン駅着

■日記

ボストン・サウス駅を8時過ぎに出発するアムトラックに乗り込む。乗り込む前に駅構内を散策するが、ハーバードやMITのような大学を擁する学園都市のせいかこれまでになく書店が充実している。

駅では、列車持ち込みの朝食を買い込んだが、飲み物としてレモネードを注文したところ、この注文が通らない。日本風「レモネード」といってしまうと通じないようで、何度かやりとりの後で"You say lemonade?"といった店員の発音は明らかに「リ」モニードだった。(万事コミュニケーションはこんな感じである)

【#26 ボストンから乗り込むアムトラック

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【#27 車中にて】

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この列車、ニューヨーク・ペンステーションを目指して海岸沿いを快調に走る。しかし、いよいよニューヨーク到着を本当に目前にして、なぜか列車は停まってしまった。車内に流れたアナウンスもよく聞き取れなかったけれど、どうやら牽引しているディーゼル機関車が故障したらしい。

この付け替えに1時間以上かかり、ようやく今回の旅行の大きな目的地であるニューヨークにたどり着いた。本来であればできるだけ早く着いて宿探しをしたかったので、この遅れは誤算だった。

ペンステーションはグランド・セントラルステーションと並ぶニューヨークを代表するターミナル駅で、遠距離を走るアムトラックはすべてこの駅を発着する。ちょうど七番街の真下に駅はあり、地上へ出ると、そこはもうマンハッタンの中心部で摩天楼が林立している。

マンハッタンの摩天楼の印象は、一言でいうと「コンテンポラリー」というより「モダン」である。最近のつるりとした高層ビルとは違い、石造りの外壁が、重量感を持って迫ってくる。本来であれば低層のビルに用いられる造りを高層建築に適用したようにも見える。そうした居並ぶ重々しい建築を見ていると、まさに「世界の首都」といった感覚を感じる。それはパリに見るようなナポレオン三世時代=19世紀の伝統ある建築の集積というよりも、20世紀モダンの稠密な集積といったイメージである。

一方、タイムズ・スクウェアなどは実際来てみるとこんなものかという感じで、テレビの映像とはそれほど変わらない。ここがニューヨークを象徴する中心かというと少し違和感を感じる。雑踏(人が多く、歩くスピードも早い)とミュージカル劇場の看板が特徴的だが、どちらかというと整然とした石造りの街並みの方がニューヨークらしさという点では印象強く迫ってくる。

さて、宿探しだが、ともかくニューヨークはホテル代の高い街である。一泊1~2万円が平均的な水準といったところだろうか。『地球の歩き方』を参考に、安価なYHやYMCAを探し、結局マンハッタン北部のハーレム135丁目にあるYMCAにする。ここでようやく一泊5千円というところである。レンガづくりのまさに古い建築である。部屋も狭く、冷房もなく窓を開けても部屋の暑気を払えない。夜にはゴキブリが出る。シャワーも共同だが、人の気配がなくホラー映画のような不気味さがある。

夜にはリンカーンセンターにあるメトロポリタン歌劇場(MET)にマスネのオペラ『マノン』を見に行く。メトロポリタン歌劇場は、ミラノスカラ座などと並んで世界的なオペラの殿堂である。造りの面ではヨーロッパの歌劇場とは異なり規模こそ大きいものの新しい建築でシャンデリアもヨーロッパ風の重厚さはない。「世界的」という言葉を冠するのは、やはりそれだけの富が集積しており、舞台や歌手を揃えられるということと思う。ファサード向かって左手にはニューヨーク州立劇場、右手にはジュリアード音楽院がある。ジュリアード、名前には聞いていたがここにあったとは知らなかった。じっくり最後まで鑑賞したかったところだが、今夜泊る宿と場所(ハーレム地区)のことを考えるとあまりゆっくりもできないと前半部終わって帰途についた。

【#28 リンカーン・センター】

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【#29 メトロポリタン歌劇場(MET)】

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【#30 歌劇『マノン』】

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すっかり暗くなった135丁目に地下鉄で到着すると、走って宿に駆け込んだ。